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妊娠中・授乳中のコーヒー|安全なカフェイン量の目安

妊娠中・授乳中のコーヒー|安全なカフェイン量の目安

妊娠が判明した瞬間から、多くの女性が「コーヒーを飲んでもいいのか」という疑問に直面する。WHOは1日300mgを超えてカフェインを摂っている妊婦に対し、摂取量を減らすことを推奨しており[4]、欧州食品安全機関(EFSA)はさらに厳格な200mgという数値を示している[2]。だが日本国内では一日摂取許容量が設定されておらず[1]、判断の基準が曖昧なまま不安を抱える妊婦は少なくない。カフェインはコーヒーだけでなく紅茶・緑茶・チョコレートにも含まれるため、気づかぬうちに上限を超える可能性がある[4]。公的機関が示す数値を出典とともに整理し、デカフェの活用や隠れカフェイン源への対処法を具体的に示す。なお本記事は一般情報の提供を目的としており、医療アドバイスではない。妊娠中・授乳中は必ずかかりつけの医師または助産師に相談してほしい。

この記事の結論
  • EFSAは妊娠中・授乳中とも1日200mgまでを安全性の懸念が生じない量とし、WHOは300mg超の妊婦に減量を推奨している。
  • ドリップコーヒーは150mLのカップ2杯強で200mgに達し、紅茶・緑茶など隠れカフェイン源も合算して管理が必要になる。
  • カフェインの影響は代謝や健康状態で個人差があり、適量の判断は医師・助産師への相談が目安になる。

この記事は「コーヒーの健康効果完全ガイド|2026年最新の医学的見解」の各論です。

妊娠中のカフェイン摂取量の目安 妊娠中のカフェインはEFSAが1日200mg以下、WHOは1日300mgを超える場合に減らすことを推奨する。200mgは150mLのカップでドリップコーヒー2杯強に相当する。胎盤を通過したカフェインは胎児で代謝されにくく長く残り、低出生体重や早産のリスクが指摘される。カフェインレス(FDAによれば8液量オンスで通常2〜15mg)を活用すれば総量を抑えやすい。制限が必要なのは妊娠期間の約10か月と授乳期間で、一時的な調整と捉えられる。 Fig. Scale 妊娠中のカフェインは1日200mg以下が目安(EFSA) EFSA 200mg以下/WHOは300mg超で減量を推奨。200mg=150mLカップ2杯強 EFSA(妊娠中) 200mg以下 = ドリップコーヒー 150mLカップで2杯強 WHO(妊娠中) 300mg超は減量を 300mg超の妊婦に減量を推奨(低出生体重などのリスク低減) (参考)健康な成人 400mg カフェインレス(FDA:8液量オンスで2〜15mg)の活用で総量を抑えやすい。制限は妊娠約10か月+授乳の一時的な調整。 紅茶・緑茶・チョコ等にもカフェインは含まれる。総量で管理を。 数値は目安。胎盤を通過したカフェインは胎児で代謝されにくい。妊娠・授乳中は必ず主治医に相談を。 出典:EFSA/WHO/米国FDA/厚生労働省・農林水産省・内閣府食品安全委員会(本文・参考文献に対応) 図解:coffee-pick.com
目次

各国・国際機関が示すカフェイン摂取上限

WHO・EFSAの推奨値と根拠

WHOは、1日300mgを超えてカフェインを摂っている妊婦に対し、流産や低出生体重のリスクを減らすため摂取量を減らすことを推奨している[4]。300mgは「ここまでなら安全」という上限値ではなく、減量を勧める対象を切り分けるための水準であり、勧告自体も状況に応じて適用する勧告(context-specific recommendation)として位置づけられている。一方EFSAは2015年に公表した科学的意見書で、妊娠中・授乳中の女性について、すべての摂取源からのカフェインが1日200mgまでであれば胎児への安全性の懸念は生じないとしている[2]。授乳中については、食品安全委員会のファクトシートが、同じ意見書の内容として、1回200mg以下・習慣的な摂取で1日200mg以下であれば乳児に健康リスクは生じないと紹介している[5]。EFSAは、妊婦を除く健康な成人については1回200mgまで・1日400mgまでを安全性の懸念が生じない量としており[2]、妊娠中の200mgはその1日量の半分にあたる。

日本国内では農林水産省と厚生労働省がカフェインの過剰摂取に関する情報を公開しているものの、妊婦向けの具体的な数値基準は示されていない[1][3]。内閣府食品安全委員会は各国・国際機関の評価を整理し、妊婦・授乳婦・子どもなど集団ごとに留意点が異なることを指摘するにとどまる[5]。このため日本の妊婦は、WHOやEFSAの数値を参考にしつつ、個々の体調や医師の指導に従って判断する必要がある。

コーヒー1杯あたりのカフェイン含有量

カフェイン量は抽出方法と豆の種類によって大きく変動する。次の表は、厚生労働省のQ&AとEFSAが示す飲料のカフェイン量を、原本の単位(100mLあたり/1杯の量)のまま並べたものである。

飲料量カフェイン量
コーヒー浸出液(粉末10g・熱湯150mL)100mLあたり60mg(150mLのカップで約90mg)[3]
インスタントコーヒー(2g使用)1杯80mg[3]
フィルターコーヒー1杯(200mL)90mg(EFSAの目安)[2]
エスプレッソ60mL80mg(EFSAの目安)[2]
紅茶(浸出液)100mLあたり30mg[3]
紅茶1杯(220mL)50mg(EFSAの目安)[2]
せん茶(浸出液)100mLあたり20mg[3]
ウーロン茶(浸出液)100mLあたり20mg[3]
コーラ1缶(355mL)40mg(EFSAの目安)[2]

厚生労働省のQ&Aが示すコーヒー浸出液の濃度(100mLあたり60mg)[3]で換算すると、150mLのカップ1杯が約90mgで、EFSAの200mgは2杯強、WHOが減量を勧める水準の300mgは3杯強にあたる。カップが大きければ杯数は減る。ただしEFSAは、コーヒー飲料のカフェイン濃度は製造工程・豆の種類・淹れ方(ドリップ、エスプレッソなど)によって変わるとしており[2]、同じ「ドリップコーヒー」でも数値には幅がある。

深掘りメモ|各国・国際機関が示すカフェイン摂取上限

浅煎りと深煎りでカフェイン量に大差はないとされるが、抽出効率の違いで体感は変わる。浅煎りは酸味が強く抽出時間が短めになりがちで、深煎りは苦味が強く長時間抽出しやすい。結果として深煎りのほうがカフェインが多く抽出される傾向にある。妊娠中は抽出時間を意識的に短くすることで、同じ豆でもカフェイン量を減らせる可能性がある。

胎児・乳児への影響と科学的知見

低出生体重との関連

WHOが1日300mgを超える妊婦に減量を推奨する背景には、カフェイン摂取量と低出生体重との関連を示す複数の疫学研究がある[4]。低出生体重は早産や胎児発育不全のリスク因子とされるが、カフェイン単独が直接の原因となるかは依然として議論がある。妊娠中のカフェイン摂取は胎盤を通過して胎児に到達し、胎児の肝臓ではカフェイン代謝酵素が未発達なため、成人よりも長時間体内に留まる。このメカニズムが胎児の心拍数や血流に影響を与える可能性が指摘されるものの、因果関係を断定する証拠は不足している。

授乳中のカフェイン摂取について、食品安全委員会のファクトシートは、EFSAの意見書の内容として、授乳中の女性が習慣的に摂る量が1日200mg以下であれば乳児に健康リスクは生じないと紹介している[5]。農林水産省は、米国疾病予防管理センター(CDC)の見解として、カフェインは母乳を通じて母親から乳児に少量ずつ移行し、母親の摂取量が少〜中程度(1日約300mg以下)であれば通常は乳児に悪影響を及ぼさないこと、早産児や新生児はカフェインの分解が遅いため、母親はさらに摂取量を減らすことを検討した方がよいことを紹介している[1]。機関によって数値が異なるうえ、乳児の状態によっても変わるため、授乳期のどの段階かを含めて医師・助産師に確かめたい。

個人差と感受性

厚生労働省は、カフェインの一日摂取許容量(ADI)は個人差が大きいことなどから、日本でも国際的にも設定されていないとしている[3]。同じ200mgを摂取しても、ある妊婦は不眠や動悸を感じる一方、別の妊婦は何の症状も現れない。遺伝的にカフェイン代謝酵素(CYP1A2)の活性が低い人は、血中カフェイン濃度が高く維持されやすく、少量でも影響が出やすい。食品安全委員会のファクトシートは、WHOの2016年の勧告の内容として、妊娠中は母親の血液からのカフェインの消失が著しく遅くなることを紹介している[5]。妊娠前と同じ量を摂取しても、体内に残りやすくなる。

深掘りメモ|胎児・乳児への影響と科学的知見

妊娠を機にデカフェに切り替える人もいる。ただし「カフェインゼロなら何杯でも安心」と誤解されがちだが、デカフェにも微量のカフェインは残る。感受性の高い人は、デカフェでも複数杯飲めば影響が出る可能性がある点に注意したい。

隠れカフェイン源とトータル管理

妊娠中のカフェイン目安と主な源 EFSAは妊娠中のカフェインについて1日200mgまでであれば胎児に安全性の懸念は生じないとする。厚生労働省Q&Aの濃度(100mLあたり60mg)で数えると、150mLのカップのコーヒー1杯が約90mg、2杯で約180mg。EFSAの目安では紅茶1杯(220mL)が50mg、プレーンチョコレート1枚(50g)が25mg。せん茶の浸出液は100mLあたり20mg(厚生労働省Q&A)。デカフェはFDAによれば8液量オンス(約237mL)で通常2〜15mg。最終判断は主治医に相談する。 Fig. Scale 妊娠中のカフェイン目安と主な源 EFSAは1日200mg以下|150mLカップで2杯強 EFSAの目安 200mg/日 コーヒー2杯 180mg 150mL×2杯 コーヒー1杯 90mg 150mL 紅茶(220mL) 50mg EFSAの目安 せん茶(100mL) 20mg 100mLあたり プレーンチョコ(50g) 25mg EFSAの目安 デカフェ(約237mL) 2〜15mg(FDA) EFSAは妊娠中1日200mgまでを懸念なしとする。150mLカップのコーヒーで2杯強。最終判断は主治医に。 出典:EFSAの目安/厚生労働省Q&A/米国FDA(本文・参考文献に対応) 図解:coffee-pick.com

コーヒー以外の飲料・食品

カフェインはコーヒー以外の多くの飲料・食品に含まれる。WHOの勧告も、対象とするカフェインには、淹れたコーヒーのほか茶・コーラ・エナジードリンク・チョコレートなど、カフェインを含むあらゆる飲食物を含むと明記している[4]。妊娠中にコーヒーを我慢していても、EFSAの目安(紅茶1杯220mLで50mg)[2]で数えると、紅茶を1日3杯飲めば150mgになる。せん茶やウーロン茶の浸出液にも100mLあたり20mgが含まれ[3]、日本茶を日常的に飲む習慣がある場合、気づかぬうちに量が積み上がる可能性がある。

以下は見落としやすいカフェイン源の例である。

項目内容
エナジードリンクEFSAの目安では標準的な缶(250mL)で80mg[2]。農林水産省の調べでは製品1本あたり50〜170mgと幅がある[1]。厚生労働省は、妊婦・授乳中の人は表示を確認のうえ飲用を控えることなどを呼びかけている[3]
チョコレートEFSAの目安ではプレーンチョコレート1枚(50g)で25mg、ミルクチョコレート1枚(50g)で10mg[2]
抹茶農林水産省によれば、粉末1.5gを湯70mLに溶かした場合で48mg[1]
コーラEFSAの目安では標準的な缶(355mL)で40mg[2]

EFSAの目安では、プレーンチョコレート1枚(50g)のカフェインは25mgで、フィルターコーヒー1杯(200mL・90mg)より少ない[2]。それでも毎日食べる習慣があれば、他の飲み物と合わせた総量に数える必要がある。

1日の総摂取量を把握する方法

EFSAが示す200mgは、すべての摂取源からのカフェインを合わせた量である[2]。次のリストは、厚生労働省のQ&AとEFSAの値で1日の摂取を数えた例である。

  • 朝食: ドリップコーヒー1杯(150mLで約90mg)[3]
  • 昼食後: せん茶1杯(150mLで30mg)[3]
  • 午後: ミルクチョコレート1枚(50gで10mg)[2]
  • 夕食後: 紅茶1杯(220mLで50mg)[2]

この例では合計180mgとなり、EFSAが示す200mg以内に収まる。だが昼食後にエスプレッソ(EFSAの目安では60mLで80mg)[2]を追加すれば、合計260mgとなって200mgを超える。カフェイン量を正確に把握するには、飲料のパッケージ表示を確認するか、メーカーの公開データを参照するのが確実である。外食やカフェで提供されるコーヒーは、抽出条件が不明なため推定値の幅が広い点に注意したい。

深掘りメモ|隠れカフェイン源とトータル管理

店で飲むコーヒーのカフェイン量は、カップの容量からおおよそ見積もれる。厚生労働省のQ&Aが示す濃度(100mLあたり60mg)[3]で見積もると、150mLのカップ1杯で約90mgになる。同じ濃度で数えると、350mLの大きなカップは1杯で約210mgとなり、EFSAの200mgを上回る。WHOも、市販の淹れたコーヒーには1杯で150mgを超えるものがあるとしている[4]。妊娠中は小さいサイズを選ぶのが無難だ。

デカフェ・カフェインレスの活用

除去方法と残留カフェイン

デカフェ(カフェインレスコーヒー)は、生豆からカフェインを除去する処理を施したものである。主な除去方法には次の3種類がある。

項目内容
二酸化炭素抽出法超臨界状態の二酸化炭素でカフェインを選択的に溶出。風味の劣化が少ない
水抽出法(スイスウォータープロセス)水と活性炭フィルターでカフェインを除去。有機認証取得品が多い
有機溶媒法ジクロロメタンや酢酸エチルでカフェインを溶解。コストは低いが溶媒残留への懸念がある

日本では「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」が、カフェインを90パーセント以上除去したコーヒーを「カフェインレスコーヒー」と定義している[7]。米国食品医薬品局(FDA)は、デカフェのコーヒーにも8液量オンス(約237mL)のカップ1杯あたり通常2〜15mgのカフェインが含まれるとしている[6]。完全にゼロではない点は理解しておくべきだが、通常のコーヒーより少ないため、総量を抑える選択肢になる。

風味の違いと選び方

デカフェは「味が薄い」「香りが弱い」という印象を持たれがちだが、近年は除去技術の向上により、通常のコーヒーと遜色ない品質の製品が増えている。特に二酸化炭素抽出法とスイスウォータープロセスは、豆本来のフレーバーを保ちやすい。選ぶ際は次の点を確認するとよい。

項目内容
除去方法の明記二酸化炭素抽出法・水抽出法など、どの方法かを確かめる
焙煎日の表示デカフェも鮮度が重要。焙煎日の新しいものを選ぶ
豆の産地・品種シングルオリジンのデカフェなら、元の豆の特徴を楽しめる
有機認証妊娠中は農薬残留への懸念も考慮し、オーガニック品を選ぶ人もいる

デカフェでもエスプレッソ抽出やフレンチプレスで濃く淹れれば、満足感のある一杯になる。ハンドドリップで淹れる場合、通常のコーヒーよりも粉を細かく挽き、抽出時間をやや長めにすると風味が引き立つ。

深掘りメモ|デカフェ・カフェインレスの活用

デカフェ豆は通常豆よりも組織が脆くなりやすく、挽き目の調整が難しい。粗すぎると薄くなり、細かすぎると雑味が出る。中挽きから始めて、味を見ながら微調整するのがコツだ。妊娠中でも楽しみやすいのは、コロンビアやエチオピアのデカフェだ。酸味と甘みのバランスがよく、カフェインレスでも満足度が高い。

医師・助産師との相談が不可欠な理由

個々の健康状態と適量の違い

EFSAやWHOの数値はあくまで集団全体を対象とした一般的な目安であり、個々の妊婦・授乳婦に最適な量を示すものではない。EFSAの評価は、病気や健康上の問題を抱える集団を対象にしていない[2]。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などがある場合は、主治医の判断が優先される。

授乳中も同様で、乳児の月齢・体重・健康状態によって許容量は変わる。農林水産省が紹介する米国CDCの見解では、早産児や新生児はカフェインの分解が遅く、母親がカフェインを多量に摂取した後に乳児がより過敏になるようであれば、母親は摂取量を減らすことを検討するよう呼びかけられている[1]。このように、一律の数値では判断できない要素が多いため、かかりつけの医師や助産師に相談することが不可欠である。

相談時に伝えるべき情報

医師・助産師に相談する際は、次の情報を整理しておくと的確なアドバイスを得やすい。

  • 1日のコーヒー摂取量(杯数・容量・種類)
  • コーヒー以外のカフェイン源(紅茶・緑茶・チョコレート・エナジードリンク等)
  • カフェイン摂取後の体調変化(動悸・不眠・胃痛など)
  • 妊娠前のカフェイン摂取習慣
  • 現在の妊娠週数または授乳中の乳児の月齢

これらの情報をもとに、医師は個別の健康状態とリスク因子を評価し、具体的な上限量や代替手段を提案できる。自己判断で極端な制限をかけるよりも、専門家の助言を得ながら無理のない範囲で調整するほうが、ストレスも少なく継続しやすい。

深掘りメモ|医師・助産師との相談が不可欠な理由

妊娠中にデカフェへ切り替える際も、まず「医師に相談してから決める」ことが欠かせない。コーヒーの情報は焙煎や抽出に関するものであって、医療の専門知識ではない。健康に関わる判断は、自己判断せず医師・助産師に委ねるべきだ。

カフェインとの付き合い方と医療免責

デカフェ以外の選択肢

カフェインを減らす方法は、デカフェへの切り替えだけではない。以下のような工夫も有効である。

項目内容
抽出時間の短縮ドリップ時間を短くすると、カフェインの抽出量も減る
豆の使用量を減らす1杯あたりの豆を減らせば、抽出されるカフェインも減る
ミルクの増量カフェオレやカプチーノにすれば、相対的にカフェイン濃度が下がる
ハーブティーへの置き換えルイボスティーやカモミールティーなど、コーヒー豆や茶葉を使わない飲み物に置き換える
玄米茶・ほうじ茶厚生労働省のQ&Aでは、浸出液100mLあたり玄米茶が10mg、ほうじ茶が20mg。ほうじ茶はせん茶と同じ値である[3]

これらの方法を組み合わせれば、完全にコーヒーを断たなくても、1日の総カフェイン量をEFSAが示す200mg以内に収めることは十分可能である。妊娠期間と授乳期間の間だけの一時的な調整と捉えれば、心理的な負担も軽くなる。

デカフェと抽出への理解

妊娠中・授乳中のカフェイン管理を経験すると、コーヒーの選び方や抽出方法への理解が深まる。デカフェ豆の品質や除去方法、カフェイン量を左右する抽出パラメータなど、通常は意識しない要素に目が向くようになる。この知識は出産後も役立ち、家族や友人にアドバイスする機会も増えるだろう。

医療免責の再確認

繰り返しになるが、本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではない。妊娠中・授乳中のカフェイン摂取については、必ずかかりつけの医師または助産師に相談してほしい。個々の健康状態・妊娠経過・乳児の発育状況によって適切な摂取量は異なり、本稿で示した数値が全ての人に当てはまるわけではない。不安や疑問がある場合は、自己判断せず専門家の助言を求めることが最も重要である。

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結論

EFSAは妊娠中・授乳中の1日200mg以下を安全性の懸念が生じない量とし[2][5]、WHOは1日300mgを超える妊婦に減量を推奨している[4]。EFSAの200mgは150mLのカップでドリップコーヒー2杯強に相当するが[3]、紅茶・緑茶・チョコレートなど隠れカフェイン源を含めた総量で管理する必要がある。米国食品医薬品局(FDA)は、デカフェのコーヒーにも8液量オンス(約237mL)のカップ1杯あたり通常2〜15mgのカフェインが含まれるとしている[6]。通常のコーヒーより少ないため、妊娠中・授乳中の選択肢となる。ただしカフェインの影響には個人差があり、代謝能力や健康状態によって適量は変わる。公的機関の数値はあくまで目安であり、最終的な判断は医師・助産師との相談を通じて行うべきである。

カフェインを完全に断つよりも、デカフェや抽出方法の工夫で「コーヒーのある生活」を続けるという選び方もある。妊娠・授乳期間は人生の一時期に過ぎず、その後はまたコーヒーを楽しめる。今は無理のない範囲で調整し、医師の助言を得ながら安全にコーヒーと付き合ってほしい。

本稿で扱ったカフェイン管理の知識は、「コーヒーと体」カテゴリの他の記事とも関連する。

参考文献

  1. 農林水産省, カフェインの過剰摂取について
    https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
  2. EFSA, Scientific Opinion on the safety of caffeine
    https://www.efsa.europa.eu/en/topics/topic/caffeine
  3. 厚生労働省, 食品に含まれるカフェインの過剰摂取について Q&A
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
  4. 世界保健機関(WHO)「WHO recommendations on antenatal care for a positive pregnancy experience」(2016年。勧告 A.10=For pregnant women with high daily caffeine intake (more than 300 mg per day), lowering daily caffeine intake during pregnancy is recommended to reduce the risk of pregnancy loss and low-birth-weight neonates./context-specific recommendation)
    https://www.who.int/publications/i/item/9789241549912
  5. 内閣府 食品安全委員会, 食品中のカフェイン
    https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
  6. 米国食品医薬品局(FDA)「Spilling the Beans: How Much Caffeine is Too Much?」(2026年10月6日閲覧)
    https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/spilling-beans-how-much-caffeine-too-much
  7. 全国コーヒー飲料公正取引協議会「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則」(全国清涼飲料連合会の掲載版。2026年10月7日閲覧)
    https://www.j-sda.or.jp/guideline/regulations_and_guidelines/pdf/regulation_cancoffee.pdf

この記事を書いた人

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