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コーヒーの仕事には何があるのか|買う・焼く・淹れる、そして味を確かめる人の持ち場の地図

コーヒーの仕事には何があるのか|買う・焼く・淹れる、そして味を確かめる人の持ち場の地図

コーヒーの仕事は、生豆を買い付けるバイヤー、焙煎度を決める焙煎士、抽出して出すバリスタという三つの持ち場と、そのどこにも現れる「味を確かめる」という技能(カッパー)に分けると一枚の地図になる。生豆は生産国で外観と風味という二つの因子によって鑑定され[1]、出荷前にはカップテストで異味異臭の有無が確かめられる[1]。この配置を知っていると、店で手に取る豆の袋やメニューの文字が、誰の仕事の結果なのかが見えてくる。

コーヒーの仕事の地図:産地から一杯まで 産地、輸出・輸入、焙煎、店、一杯という流れの上に、買う(生豆のバイヤー)、焼く(焙煎士)、淹れて出す(バリスタ)という持ち場が順に乗る。確かめる(カッパー)は流れのどこか一点に乗るのではなく、産地から一杯まで端から端まで通る帯として描いている。 Fig. Flow コーヒーの仕事の地図:産地から一杯まで 買う・焼く・淹れるの持ち場が流れの上に並び、確かめる技能は全体を通る 買う 生豆のバイヤー 焼く 焙煎士 淹れて出す バリスタ 産地 選別・鑑定 輸出・輸入 検査を経て工場へ 焙煎 焙煎度と配合の決定 店 抽出して提供 一杯 実際に口にする結果 確かめる カッパー 一点に乗るのではなく、産地から一杯まで端から端まで通る。どの地点にも重なって現れる 本文「流れ図で見る:産地から一杯まで」。呼び名は、業界の慣用の呼び名として使っている。 当サイトによる整理(「確かめる」がどの地点にも現れる、は本サイトの読み) 図解:coffee-pick.com
目次

コーヒーが一杯になるまでの四つの持ち場

買う・焼く・淹れるという三つの駅と、確かめるという帯

コーヒーに関わる仕事は、豆が一杯になるまでの道筋に沿って並べると見通しがよくなる。生豆を買い付ける人、焙煎度を決める人、抽出して客の前に出す人という三つの持ち場が、産地から一杯までの一本の流れの上に順番に置かれている。そしてこの三つのどこにも現れるのが、味と香りを確かめるという技能である。買う・焼く・淹れるが駅だとすれば、確かめることは駅と駅の間を含めて流れ全体を通り続ける帯のような位置づけになる。

流れ図で見る:産地から一杯まで

一本の流れを言葉で書き起こすと、産地での選別から輸出、輸入、焙煎、店、一杯という順番になる。この流れの上に、①生豆のバイヤー(買う)、②焙煎士(焼く)、③バリスタ(淹れて出す)という三つの持ち場が順に乗る。④のカッパー(確かめる)だけは、流れのどこか一点に乗るのではなく、産地での鑑定から店での一杯まで端から端まで通り続ける。

  • 産地:選別・鑑定(買う人の仕事の始点)
  • 輸出・輸入:検査を経て工場へ
  • 焙煎:焙煎度と配合の決定
  • 店:抽出して提供
  • 一杯:読み手が実際に口にする結果

この五つの地点のどこにも、味を確かめるという作業が重なって現れる。

①買う人=生豆のバイヤー

生産国での選別と鑑定

生豆のバイヤーは、生産国ですでに選別・鑑定された生豆を、見本の外観と風味を確かめたうえで買い付ける役目を持つ。全日本コーヒー協会の説明によれば、生豆の選別は「外観」と「風味」という二つの因子で鑑定される[1]。外観の鑑定では、ふるい(スクリーン)による粒の大きさの仕分けや、欠点豆(不完全な豆や異物の混入)の有無が見分けの基準になる[1]。風味の鑑定では出荷前にカップテストが行われ、異味異臭が無いかどうかが確かめられる[1]。バイヤーが見本から味を読み取る作業は、この生産国側の鑑定をすでに踏まえたうえで行われている。生豆の等級の詳しい基準は生豆の等級にまとめている。

輸出入の検査を経て工場へ

買い付けられた生豆は、そのまま店に届くわけではない。全日本コーヒー協会の説明では、輸出の段階で生産国の植物貿易法や食品衛生法に基づく検査が行われ[2]、輸入の段階では国の植物検疫と食品検疫を受ける[2]。通関を終えた生豆は工場でも検査を受け、安全性が確認されたのちに製品化へ進む[2]。生豆のバイヤーの仕事は、こうした検査の手前で見本の味と外観を確かめて買い付ける判断にある。産地から店までの全体の流れは産地から店までの供給網に、産地と直接つながる取引のかたちはダイレクトトレードに、輸入時の検査の詳細はコーヒー豆の輸入検査にまとめている。

深掘りメモ|検査と鑑定の違い

生産国側の選別・鑑定は豆の等級づけに関わり、輸出入の検査は植物検疫や食品衛生に関わる。両者は別の段で行われる別の手続きで、協会は、コーヒー豆を輸入するためには国の植物検疫と食品検疫を受ける必要があると説明している[1][2]。

②焼く人=焙煎士

焙煎度を決めるという仕事

焙煎士の役目は、生豆の個性を引き出すように焙煎度を決めることにある。全日本コーヒー協会は、生産国や銘柄、精製方法によって違いのあるコーヒーの個性を引き出すように焙煎度を決める、と説明している[3]。浅煎りほど酸味が際立ち、深煎りになるほど苦味を感じやすくなるとされる[3]。精製方法(ナチュラル、ウォッシュト、ハニープロセスなど)によって生豆の個性そのものが変わるため、焙煎士の判断は生豆のバイヤーが買い付けた豆の性質を前提にしている。焙煎度の中身や呼び名の詳しい解説は焙煎度の科学に譲る。

配合という選択肢

単一の生豆だけでなく、複数の生豆を組み合わせる配合(ブレンド)を組むことも、焙煎士の持ち場に含まれる。どの豆をどう組み合わせるかという判断は、焙煎度の決定と同じく、生豆の個性をどう引き出すかという問いの延長線上にある。焙煎機の違いによって熱の伝わり方が変わる点は扱わず、焙煎機の種類に譲る。焙煎士という呼び名は、ここでは業界の慣用の呼び名として使っている。

③淹れて出す人=バリスタ

抽出して客の前に出すという持ち場

一本の流れの最後に立つのがバリスタである。日本バリスタ協会は、協会の目的を述べる文のなかで、バリスタを「技術者(提供者)」と表現している[5]。この表現からは、淹れるという技術だけでなく、出す(提供する)というところまでが持ち場に含まれる、と読める。買う人が選び、焼く人が焙煎度を決めた豆は、バリスタの手を経て初めて一杯として完成する。

淹れるという技術の幅

抽出の方法には、ハンドドリップ、エスプレッソ、フレンチプレスなど複数の型があり、それぞれ湯の通し方や圧力のかけ方が異なる。どの方法を選ぶにしても、淹れて終わりではなく客の前に出すところまでを含めて一つの仕事になる、という点は共通している。バリスタという呼び名も、焙煎士やバイヤーと同じく、ここでは業界の慣用の呼び名として使っている。バリスタの大会やハンドドリップの大会については、それぞれ別の記事の主題になる。

④味を確かめる人=カッパー

カッピングという手順

カッパーは、カッピングという決まった手順で味と香りを評価する役目を持つ。カッパーという呼び名は業界の慣用で、ここでは「カッピングで評価する人」という意味で使う。全日本コーヒー協会の説明では、生産国での鑑定も「外観」と「風味」という二つの因子で行われ、出荷前にはカップテストで異味異臭の有無が確かめられる[1]。カッピングの具体的な手順はカッピングの手順に、評価で使う香味の言葉は風味の表現に、見た目で見分ける欠点豆は欠点豆の見分け方にまとめている。

評価は豆が渡るたびに現れる

全日本コーヒー協会は、生産国側の選別を外観と風味で鑑定し、出荷前のカップテストで異味異臭の有無を確かめると説明している[1]。SCAは、Qグレーダーのライセンスについて、仕入れ・焙煎・品質管理にまたがって認められた資格だと説明している[4]。この二つを重ねると、味を確かめるという技能は①から③のどこか一つの持ち場に属するものではなく、豆が買う人から焼く人へ、焼く人から淹れる人へと渡るたびに現れる、と読める。カッパーが四つめの独立した駅ではなく、流れ全体を通る帯として描かれるのは、この重なりによる。Qグレーダーの資格そのものの取り方や難易度は、扱わない別の主題である。

深掘りメモ|カッパーという語の位置づけ

カッパーは、カッピングという手順に携わる人を指す業界の慣用の呼び名である。評価は生産国の鑑定に組み込まれており[1]、評価の資格であるQグレーダーのライセンスは、仕入れ・焙煎・品質管理にまたがって認められたものと説明されている[4]。

結論:持ち場の地図としてのコーヒーの仕事

対応表で見る四つの持ち場

四つの持ち場を並べると、呼び名・主に見るもの・詳しい記事は次のように対応する。

持ち場呼び名主に見るもの詳しい記事
①買う生豆のバイヤー生豆の外観・風味、等級生豆の等級
②焼く焙煎士焙煎度、配合焙煎度の科学
③淹れて出すバリスタ抽出方法、提供ハンドドリップ・エスプレッソなど
④確かめるカッパー香味、欠点豆の有無カッピングの手順

呼び名はいずれも、ここでは業界の慣用の呼び名として使っている。国の資格にあたるかどうかは、この記事では扱わない。

一人が兼ねることもある

小さな店では、買う・焼く・淹れるという三つの持ち場を一人が続けて受け持つこともある。これは一般的な業態のありようであって、どの規模の店にも当てはまる決まりではない。持ち場が分かれていても一人に集約されていても、味を確かめるという技能は流れのどこかで使われる、というのが本サイトの整理である。

読者が次にやれること

店で豆の袋やメニューを目にしたとき、そこに書かれた情報がどの持ち場の仕事の結果かを考えてみるとよい。

  • 産地名・等級の表示 → 買う人(バイヤー)の仕事
  • 焙煎度の表示 → 焼く人(焙煎士)の仕事
  • 抽出方法の説明 → 淹れる人(バリスタ)の仕事
  • 香味の評価コメント → 確かめる人(カッパー)の仕事

家で味を確かめる側を試したい読者には、カッピングの手順が手がかりになる。資格のしくみやQグレーダーの取得方法、バリスタの大会、ハンドドリップの大会は、それぞれ別の記事の主題であり、扱わない。四つの持ち場という地図そのものは、次に豆を選ぶときにそのまま使える見取り図である。

参考文献

  1. コーヒーができるまで② 加工処理・選別/全日本コーヒー協会(知る・楽しむ コーヒーの基礎知識)
    https://coffee.ajca.or.jp/column/4476/
  2. コーヒーができるまで③ 輸出・輸入/全日本コーヒー協会(知る・楽しむ コーヒーの基礎知識)
    https://coffee.ajca.or.jp/column/4480/
  3. コーヒーができるまで④ 焙煎・配合・粉砕/全日本コーヒー協会(知る・楽しむ コーヒーの基礎知識)
    https://coffee.ajca.or.jp/column/4472/
  4. Q Grader(Education)/Specialty Coffee Association
    https://sca.coffee/education/q-grader
  5. 日本バリスタ協会ーJBAとは/一般社団法人 日本バリスタ協会
    https://jba-barista.org/association/about

この記事を書いた人

Coffee Pick Lab は、コーヒー知識メディア Coffee Pick をつくっている編集ラボです。国際コーヒー機関や全日本コーヒー協会の統計、ISO や公正競争規約などの規格・法令、査読論文、生産国の公的資料——一次資料を原典で読むことを出発点にしています。英語や現地語の資料の読み解きと下書きにはAIを使い、数字・年代・固有名詞は人が出典に当たり直して、裏が取れないものは落としてから公開します。編集方針と制作工程は運営者情報にまとめています。

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